オープンなオフィスだと生産性が低下する!?
3行まとめ
- オープンな設計のオフィスに変更すると、対面コミュニケーションが減少し、メールやチャット等の電子でのコミュニケーションが増加、結果として生産性が低下するとの調査結果が発表された。
- 生産性低下のはっきりとした理由は分かっていないが、周囲の音や他者の視線、他社から監視の目に不満が多く、職場にもある程度プライベートな空間が必要なのではないか?とのこと。
- ただ、上記だと対面でのコミュニケーションが減り、電子でのコミュニケーションが増加した理由にならないため、単に「人に聞かれたくない話や仕事」が思った以上に多いというだけである気がする。
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オープンなオフィスだと生産性が低下する
英王立協会が発行する学術論文誌にて、日本では一般的なオープンなつくりのオフィスは生産性やチームワークの観点からはあまりお勧めではないという調査結果が発表された。
流行の「働き方改革」でもよく話が挙がるオープンなオフィス、何故生産性が低下するのか?
本文内では以下のように記載されていました。
オフィスワーカーを対象にした調査では、周囲の音など注意力をそらせる要因、生産性の低下、プライヴァシーがなくなること、「監視されている」ような感覚について不満の声が上がっている。
そして
論文は、オープンプランのオフィスは本来の目的から見れば逆効果になると結論づけている。はっきりとした理由はわかっていないが、バーンスタインとターバンは、従業員は職場では他者とのコミュニケーションを制限したいのではないかと示唆する。仕事をするうえで適切な環境をつくるには、「境界」が必要になるというのだ。
…難しい日本語ですが、ざっくり言うと、職場環境にもある程度プライベートな空間が必要、ということですかね。
自分の経験だと、対面でのコミュニケーションは激増する
ちなみに、私の会社もオープンなオフィス設計です。
まぁコンサルタントという職業上、あまり自社に戻ることがないため、そのような設計になっているのですが。
で、自身の経験から言うと、オープンなオフィスだと対面でのコミュニケーション量は激増します。
但し、業務に関係のないコミュニケーションも激増するため、結果として生産性は下がります。(そのため、本当に集中して作業したいときは自社に戻らないです。)
よって「生産性が低下する」には違和感ないのですが、「対面でのコミュニケーションが減少する」はちょっと違和感があります。
考えられることは、
(1)対面でコミュニケーション取れる環境だと、逆に取らなくなる。(東京出身の人は逆に東京観光したことない、みたいな。)
(2)対面コミュニケーションの多くは、オープンな環境では話せないこと。(仕事に関係ない会話)
(3)対面コミュニケーションの多くは、オープンな環境では話せないこと。(仕事の話だけど、他人に聞かせられない会話)
あたりでしょうか。
どれも可能性としてはありそうですが、生産性が低下した事実と照らし合わせると(3)が有力な気がします。仕事の多くは表に出ないところで動いているということですね。
職業や役職に合ったオフィスの設計が望ましい
もし(3)が正解だとすると、オフィスの設計を誤っていますよね。
仕事上、他人に聞かせられない話があることは普通の話です。それなのに「オープンなオフィスは素晴らしい」を盲目的に信じると良くなく、その人の職業や役職に合ったオフィス設計が必要なんだと思います。
ちなみに個人的にいいなと思ったオフィスはカルビーのフリーアドレス制です。
(元はコクヨの仕組みのようです。)
どういう仕組みかというと、
「弊社のフリーアドレスは自分で席を選ぶのではなく、ダーツシステムがランダムに自動決定するんですよ」
なるほど。コミュニケーションを取る相手が偏らないよう、ランダムに席決めをするということですね。
更に、完全なランダムではなく、
まず、設定するのは「エリア区分」。オフィスはとても広いので、三つのエリアに分かれています。ざっくりとどのエリアで仕事をするか選んだら、次に「席種」を選択します。席種は用途別に3タイプあり、笹山さんによると、「それぞれが、その日の自分の仕事内容に合わせて選択する」とのこと。
3タイプの席種とは
- コミュニケーション席 … 間仕切りなしのオープンな4人席
- ソロ席 ... 着座時に目線より低い間仕切りのある4人席。
- 集中席 … 窓側に設置された横並びの隔離席。(この席では電話も禁止)
遊び心がありつつ、機能性/生産性も考慮された素晴らしいオフィスだと思います。
2018/07/23(月) 総アクセス数:296