たった1つの「正しい情報」

100の「曖昧な情報」よりも、たった1つの「正しい情報」を目指します。

「何でもいいから経営者になりたい!」を批判する意味が分からない。

3行まとめ

  • どう考えたって「起業」や「会社経営」は楽しい!しかし、「情熱」や「信念・ビジョン」を必要不可欠条件とする風潮があり、不必要にハードルを高くしているように感じる。
  • その結果なのかは不明だが、事実として日本の開業率は低く、起業に対する関心は他国と比較して圧倒的に低くなっている。
  • そんな中、「個人が会社を買う」がニュースになっている。「起業」や「会社経営」のモチベーションに対する多様性を許容することは、もしかすると日本の経済を再活性化させる鍵になるのかもしれない。

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「会社経営って面白そう!」は立派な起業理由 

個人的な話で恐縮ですが、私の夢は起業して会社経営をすることです。「起業」ももちろん興味はあるのですが、今現在だと「会社経営」の方が比重としては大きいです。

自分の中では「どうせ働くのであれば会社経営の立場の方が面白い」という割と単純で真っ当な思考のつもりなのですが、世の中的にはどうも認められにくいようですね。

「起業」や「会社経営」について勉強すると、最初に来るのは「情熱(パッション)」であり、「経営者になる」を目的にすると失敗する、という論調があまりにも多いのです。

 

うーん、本当にそうなんですかね?意味が分からないというのが正直な感想です。だって、どう考えたってただ働くよりも、経営者の方が楽しそうじゃないですか。「楽しそう」というのは立派な理由・モチベーションだと思うんですけどね…。

 

自分なりの解釈としては、「会社を経営するにあたって、様々な判断が求められる。その際に『情熱』や『ビジョン』がないと判断がブレてしまう」であったり、「起業や会社経営は辛いことも多々ある。そんな辛い時期を乗り越えるためには、『情熱』や『ビジョン』が必要なのだ」であったり、きっとそういう理由なんだろうなと思っています。

曲がりなりにも、私も起業の経験があるため、上記要素は否定しません。ただ、「その方が成功の確率が高い」という話が、いつのまにか「そうでないとダメだ」になっている気がするんですよね。結果として、間違った風潮が「情熱は無いけど優秀な経営者・起業家」の芽を摘んでいる気がします。

 

中小企業白書で見る「日本の現状」

ちなみに、日本の「起業」と「中小企業の後継者問題」の実情は御存じでしょうか?中小企業白書etcに分析結果があるため、紹介します。

 

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日本の開業率は、国際的にも低いです。アメリカと比較すると約半分、イギリスと比較すると1/3程度とかなり大きな差があります。

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更に大きな差になっているのは、「起業に無関心な人の割合」です。他の国は2/3の人が興味を持っているにも関わらず、日本が3/4以上の人が「無関心」です。

開業率は「行動力」なども必要になるため、差があると言いつつ、5%~15%の範囲で収まるのは納得できます。しかし、「関心」という、ある意味手軽な内容において、ここまでの差があるのは驚きで、いかに日本人にとって「起業」や「会社経営」が"特別なこと"なのかが読み取れます。

出典)2017年版中小企業白書 概要
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/h29_pdf_mokujityuuGaiyou.pdf

 

もしかすると、日本人の「大企業志向」「安定志向」な国民性もあるのかな?とは思います。しかし、そうやって「起業」や「会社経営」を"特別視"し、「情熱を持った限られた人の職業」と不必要にハードルを高くすることにより、中小企業を中心に後継者不足の問題にも繋がっているように思います。

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上記の通り、一般企業では「定年」となる60歳以上に限定すると、3割~5割近くの企業が後継者不足の課題に直面しているのです。

出典)
2017年 後継者問題に関する企業の実態調査 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]

 

そもそも、日本の中小企業については思うところも多いです。「下町ロケット」ではないですが、実際、日本の中小企業の技術力は高く、海外と比較した場合の優位点(ストロングポイント)になっているのは事実だと思います。

しかし、その強みを十分に活かしているかというと、「技術力はあるけれど、経営は強くない」人々によって、十分には発揮できていない側面が確実にあると思っています。

「起業ブーム」や「起業しやすい社会の到来」も良いですが、新規起業と同じくらい、現存する魅力的な企業を輝かせることが重要、つまり、「会社経営のプロ」が必要なのではないかと感じているのです。

 

「個人が会社を買う」が当たり前の時代が来る

さて、そんな思いを持っている中、こんな記事を見付けました。

gendai.ismedia.jp

おぉ、なるほど!日本の後継者不足の現状を見るとこういう「個人が会社を買い取って経営する」というケースが増えると素敵だなと思います。

 

情熱を持った「起業」や「会社経営」は間違いなく素晴らしいです。でも、だからといって、そうでない「起業」や「会社経営」がダメという話ではないと思います。純粋に会社経営を楽しみたいという思いも、同等に歓迎すべきものです。何故、片方を賛美したら、片方を非難しないといけないのか理解ができません。

 

現代において、多様性を謳うのであれば、起業家/経営者のモチベーションにも多様性を許容する。そうすれば、起業の裾野が広がるだけでなく、もしかすると中小企業の後継者問題の解決の糸口にもなるかもしれない。日本再生のヒントが眠っているように思います。

 

本日は以上です。

 

2018/11/6(火) 総アクセス数:2531