『人脈があれば専門性はいらない』は本当なのか?
3行まとめ
- 「異業種交流会に参加」など、直接的な人脈を広げる行動も重要だが、専門性を高めることも同程度に重要である。何より長期的には「専門性」は「人脈づくり」にも有効。
- 「専門性」無く人脈を広げると、一方的に自分が相手に頼る関係となってしまい、頼りにくく、かつ、その関係性の維持も大変になる。
- 必ずしも「専門性」である必要はないが、長期的な人脈を築くには相手が持ってない「何か」を持ち、お互いに頼り合う関係が望ましい。
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専門性を高めることは人脈づくりにも有効
先輩:なぁ、最近忙しそうにしているけど、ちゃんと勉強しているか?
私:う~ん、いきなり耳が痛いですね…。正直、微妙ですね。色々忙しくて…あまり勉強できていないですね。
先輩:おー、何がそんなに忙しいんだ?プロジェクトそのものはそこまで忙しくないだろ?
私:はい、プロジェクトは割と落ち着いているのですが、異業種交流会のようなイベントに顔を出すようにしていまして…。
先輩:へー、それはそれでいいことだよ。異業種交流会は自分の視野が広くなるし、結果、知見が高くなることもあるからな。でも…、勉強、特に専門性を高めるための取り組みは続けた方がいいぞ。
私:はい、分かってはいるつもりなのですが…。先輩の仕事っぷりをみていると人脈の重要性を凄く感じるんですよね。私は先輩ほどの人脈が無いから…正直焦っています。あと…正直に言うと、人脈があれば、専門性はなくてもいいかなと思っているところもあります。
先輩:人脈の重要性については同意。でも、同じくらい専門性も重要だぞ。専門性を高めることは人脈づくりにも有効だしな。
私:え?
人脈重視:Aさんの話
先輩:ある後輩Aさんの話だ。彼女はあまり自己評価が高くなく、自分は秀でた能力が無い凡才だと思っていたようだ。その影響か、不足分は人脈でカバーしようと考えていたようで、人脈を重要視して若い頃から勉強会や交流会に盛んに顔を出していたよ。君と同じだね。
私:そうですね。
先輩:彼女は非常にマメでね。出会った人には必ず当日のうちにメールを送るし、出会った人を忘れないように専用のメモを作っている。そして、知り合った人には用事が無くても定期的に連絡を取るなど徹底していたよ。
私:それは凄いですね…。私もそこまでは出来ていないです…。
先輩:そうだね。彼女は自分に秀でた能力が無いと言っていたけど、そのマメさだけでも十分なスキルであり、強みだと思うよ。
私:それで彼女はどうなったんですか?
先輩:半年くらい経った頃からかな、彼女の「人脈ネットワーク」は広くなり、徐々に仕事に役立つようになってきた。自分の苦手分野は、専門分野の知り合いに聞くなどして飛躍的にパフォーマンスは上がったよ。
私:やっぱり!人脈は重要ですよね。
先輩:でもね、2年経つ頃には彼女の「人脈ネットワーク」は殆ど元に戻っていたんだよ。
私:え!?なぜですか?
先輩:本人曰く、疲れちゃったそうだ。「人脈ネットワーク」が広がるにつれて、関係維持にかかる労力も増えてくるし、彼女が定期的にコンタクトを取っても無視されることも多いし、何より相手に頼ってばかりだと段々いい顔されなくなるしね。体力的にも精神的にも続かなかったようだよ。
私:なるほど…。
専門性重視:Bくんの話
先輩:一方で、あまり社交的でない後輩Bくんの話だ。彼はAさんと比較すると、随分と大人しくてね。お世辞にもコミュニケーション能力は達者でなかった。
私:ふむふむ。
先輩:彼も自分にコミュニケーション能力が無いことの自覚はあり、その分、得意分野のスキルを磨き、専門性を高める方に力を入れた。
私:Aさんとは正反対ですね。
先輩:その通り。最初は社内でもあまり目立っていなかったよ。Aさんのほうが成果が出るタイミングが早かったし、何より人脈で突破していく様は「華」があった。でもね、3年もするとBくんの社内の評価は随分と変わってきた。
私:…。
先輩:彼の得意分野に対する知見は徐々に高くなり、その知見の高さと比例して社内でも評判が高くなった。評判が高くなると、彼を頼って訪ねる人の数も増え、更に自分の中に知見が蓄積されていく。順調に良いサイクルが回り始め、5年もすると彼の専門性・知見の高さは社外に響くまでになっていたよ。
私:なんと…。
先輩:ここから先は言う必要がないかもしれないね。そうして彼は計らずとも「人脈ネットワーク」を手に入れた。同じ「人脈ネットワーク」だけど、自分で関係維持しなくても相手が関係維持を望んでくれるという点、そして自分が頼られるから相手にも頼り易かったという点がAさんとの違いだった。
「専門性の高さ」は「人脈を広げる」手段の1つ
私:そういうことなんですね…。「人脈ネットワーク」は片方がもう片方を一方的に頼る関係では成立しない、お互いに頼り合うからこそ成立する。そして自分が頼られるためには人が持っていない「専門性」が重要。だから人脈に専門性は必要不可欠なんですね!!
先輩:んー、半分正解で半分間違い。
私:えー??
先輩:最初に言ったろ。専門性を高めることは人脈つくりにも「有効」ってね。
私:???
先輩:君もまだまだだな。手段と目的がごっちゃになっているよ。人脈を構築して広げていく上で、「専門性の高さ」は有利だよ。でも、目的が「人脈を構築して広げること」だとすると、「専門性の高さ」は手段の1つに過ぎない。今回のAさんは上手くいかなかったけれど、根っからの「人間好き」な人はAさんの方法でも上手くいったかもしれない。そうでなくても、もう少し長く続けていたら「人脈の広さ」が武器になって、その「ネットワーク」を頼って色んな人が関係維持をしたがるようになるかもしれない。
私:そうか…。
先輩:言いたかったことは、人脈を作るために勉強の時間を犠牲にする、は短絡過ぎないかい?ということまでさ。
本日は以上です。
2018/11/19(月) 総アクセス数:2868