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【日経ビジネス】正念場を迎えたワークスアプリケーションズ

まとめ

  • ワークスアプリケーションズの業績が悪く、株式の6割強を保有する筆頭株主が全株式を売却する方向に動いているとのこと。
  • ワークスアプリケーションズは、新製品開発に注力するため、2011年にMBOによる非上場化を行ったが、その後2017年に再上場を試みるが失敗。代わりに投資ファンドから資金を調達したという過去を持つ。
  • 結果だけを見ると、「新製品の売上が立ってから再上場しなさい」とストップをかけた東証の判断は正しかったように思える。
  • 今後、ワークスアプリケーションがどのような方向に経営の舵取りを行うのかは不明だが、いずれにせよ正念場を迎えることになりそうである。

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ワークス、筆頭株主が経営権売却へ

本日も日経ビジネスの記事を紹介。
 

business.nikkei.com

ワークスアプリケーションズとは、国産の大手企業向けERPパッケージソフト「COMPANY」「HUE」の開発・販売・コンサルティングサポートを行う企業です。
成長率やユニークな制度で有名な会社ですが、その他にも様々な分野で話題になっています。
ワークスアプリは業務の無駄を省く仕組みづくりに力を入れる企業として知られ、2017年には米調査会社が日本で実施した「働きがいのある会社」で1位に輝いたこともある。ワークスアプリを率いる牧野正幸CEO(最高経営責任者)は文部科学省中央教育審議会の委員を務めたほか、リクナビ「理想の経営者」で1位に輝いたこともある。
 

この記事によると、

システム大手のワークスアプリケーションズ(東京・港)の筆頭株主が経営権を売却する交渉を進めていることが16日、日経ビジネスの取材で明らかになった。
…(中略)…
ワークスアプリの株式を6割強保有している投資ファンドが、全株を手放す意向で、売却に向けた入札を実施している。

とのこと。

 

株式の過半数が手放されるとは…すごいですね。この筆頭株主はACAグループという投資ファンドなのですが、上場の目途が立ちそうにないことから売却に踏み切った様子です。

ワークスアプリは17年に再上場を東京証券取引所に申請したものの認められないうちに経営が悪化、現段階で上場計画は先が見通せない状況になっている。ACAなどの投資ファンドは、上場時に保有株を売り出して利益を確保することが多い。今回、ACAが入札による株式売却に踏み切ったのは上場のメドが当面立ちそうにないことの裏返しとみられる。

 

MBOにより一度は非上場となったが…

ワークスアプリケーションの沿革を見ると面白いです。
  • 1996年:会社設立
  • 2001年:ジャスダック上場
  • 2011年:MBOによる非上場化
  • 2017年:再上場を試みるも断念
さて、ワークスアプリケーションズに何があったのでしょうか?
 

MBOによる非上場化

何故、上場したのにMBO(経営層による自社株式の買収)を行ったのか?
それは上場により「利益重視」になったことで開発費を十分にかけられなくなったためのようです。

上場して資金調達ができるようになった一方、利益を求める投資家に応えなければならなくなっのです。研究開発にお金を使いすぎれば赤字になり、投資家の期待を裏切ってしまいます。

利益を出すためには、人員の採用を抑え、開発費も抑えざるを得ません。開発の遅れはやむを得ないと考えるしかありませんでした。

style.nikkei.com

ワークスアプリケーションは今後の成長を見据えて、「HUE」と呼ばれる人工知能ERPの開発に注力しようとしていました。しかし、短期的には利益を逼迫するため、上場企業としては動きが取りづらかったようですね。

 

そして再上場を試みるも…断念

もともと「HUE」の開発に注力するための非上場化だったため、当初から「HUE」の開発が一段落した時点で再上場を計画していたようです。
当社は11年にMBOで非上場になりましたが、今は再び上場を目指しています。そもそもMBOに踏み切った時点で、投資家から資金を調達しており、再上場を視野に入れていました。

しかし、再上場計画は上手くはいかず…

東証からは「新製品を開発するのがMBOの理由だったはず。その新製品の売り上げが立ってから上場しなさい」という趣旨の指摘がありました。

東証から再上場に「待った」の声が掛かったようです。そのため、上場ではなく、ファンドから資金を調達する道を選択しました。

style.nikkei.com

 

結果だけで語るなら東証は正しかった?

ここからは完全な私見ですが、結果だけ見ると東証が正しかったなと思います。いくつかのプロジェクトで「HUE」と関わりましたが、まだ完成には時間がかかるという印象。にも拘わらず、営業部隊は積極的に販売していく。

結果、導入遅延でいくつかの企業から損害賠償請求を受けています。

 

背景に何があったのかまでは分かりませんが、利益重視から逃れるためにMBOを行ったはずなのに、利益を重視した結果、自らの首を絞めてしまった感じが否めません。

 

現在の業績や開発状況、訴訟状況を鑑みると、ここからの挽回はかなり大変でしょう。しかし、「COMPANY」の導入会社も多いため、簡単に会社を畳むことも難しいでしょう。

どのような道を選ぶにせよ、ワークスアプリケーションは正念場を迎えていると言えそうです。 

参考)ワークスアプリケーションズ - Wikipedia

  

本日は以上です。

2019/1/17(木) 総アクセス数:6254

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