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【日経ビジネス】キャッシュレス比率5割超!?…統計って難しいね

まとめ

  • 通説として「日本のキャッシュレス比率は約2割で、キャッシュレス後進国」と言われているが、2018年に金融庁が調査した結果だと「日本のキャッシュレス比率は既に5割超ある」とのこと。
  • この差は「キャッシュレスの定義」の違い。ざっくり言うと、後者の調査では「口座振替」と「他口座への振り込み」を含んでいるとのこと。
  • 少し気になるのは、そもそもキャッシュレス比率とは「どれくらい日常に浸透しているか」の指標ではないのか。そうだとすると、算出は金額ベースより、支払回数(頻度)ベースの方が正しい。

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キャッシュレス比率、実は5割超 “通説”に反するデータとは

本日は日経ビジネスのこの記事に関する話です。
一般的に日本は現金文化であり、キャッシュレスの進みは遅いと言われています。
日本では決済額に占める比率は約2割にとどまるとされ、韓国(89%)や米国(45%)に後れを取ると指摘されてきた。
…(中略)…
ところが、前提となる2割という数字に異を唱えるような調査に改めて注目が集まっている。金融庁が2018年秋に公表していた独自調査だ。それによると、日本のキャッシュレス比率は既に5割超あるという。
経済産業省が算出した「約2割」と金融庁が算出した「5割超」、何故こんなにも大きな乖離があるのか?
それは調査手法の違いが原因のようです。
 
メガバンク3行の個人口座からの出金状況
すごーく、ざっくり言うと、
(A)クレジットカード/デビットカード(14.9%)
(B)公共料金や家賃・ローンの口座振替(17.1%)
(C)ネットバンキングなどによる他口座への振り込み(22.3%)
のうち、
 ■経済産業省:(A)のみ
 ■金融庁:(A)+(B)+(C)
ということのようです。
 

統計って難しいですね

うーん、言いたいことが多いので順番に…。
 

①他口座への振り込みをキャッシュレスに入れるべき?

まぁ確かに現金で振り込んでいない以上、キャッシュレスなのかもしれませんが、だからと言ってキャッシュレスに入れるべきなのか??
振り込み先の口座で現金を引き出しているケースも結構あると思うんですけどね…。
 

②公共料金や家賃、ローンの口座振替もキャッシュレスに入れるべき?

まぁ確かに現金で振り込んでいない以上、キャッシュレスなのかもしれませんが、だからと言ってキャッシュレスに入れるべきなのか??
言いたいことは①と全く同じです(笑)
この統計結果を使って「何を語るのか」にも依るとは思いますが、違和感はぬぐえないです。
 

③そもそも金額ベースでキャッシュレス比率を算出する?

①②の根底にある疑問として、そもそもキャッシュレス比率って「金額ベース」で算出するべきものなのでしょうか?
上記で記載している通り、このキャッシュレス比率の算出目的に依るのでしょうが、仮に「キャッシュレスの浸透率」を出したいのであれば、金額ではなく、支払回数(頻度)で算出するべきだと思います。
 
例えば、コンビニで100人の買い物客がいて、50人が電子マネーで合計9万円分の買い物を、残りの50人が現金で合計1万円分の買い物をした場合、キャッシュレス比率は何が適切でしょうか?
きっと金額ベースで90%と出すよりも、支払回数ベースで50%と出すほうが実態に近い気がします(特に「(B)公共料金や家賃・ローンの口座振替」をキャッシュレスに含む場合は)。
 

④同じ「定義」で比較しているのか?

まぁ、いずれにしても同じ「定義」で比較しているのであれば、意味のある数字だと思います。言い換えると、「(A)のみ」ではなく、「(A)+(B)+(C)」で算出するのであれば、日本だけでなく、他国も同じ定義で計算しないと何とも言えないなぁと。
 

統計以外で言いたいこと口座振替は日本特有!

ちなみに「口座振替」って日本特有みたいですね。

18年春に全国銀行協会の平野信行会長(当時、三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)は、「日本はキャッシュレス化が著しく遅れているといわれるが、銀行システムの面では進んでいる」と反論している。

銀行側の言い分はこうだ。米国をはじめ他の主要国では口座振替機能が充実しておらず、公共料金や家賃の支払いもクレジットカードや小切手を使うことが多い。日本の銀行が利便性向上を怠ってきたわけではない……。

外国って口座振替の機能ってないんですね…。
 
少し調べてみたところ、Wikipediaにこんな記載がありました。
一方、小切手の利用が浸透している欧米では、文化的に銀行の自らの口座から勝手に引き落とされることに抵抗があるとされ、公共料金等の支払いは自宅に郵送される請求書の金額を確認したうえで個人小切手を郵送して支払うことが多い
うーん、クレジットカードも似たようなものだと思いますが、そうなんですね。
絶対便利だと思うのですが…。
日本はガラパコスと言われることが多いですが、実際には「進んでいる」という意味でのガラパコスが多いと思うんですよね。
上手く海外にサービス展開して、日本のサービス/機能をデファクトスタンダードにして欲しいですね。
 

おまけ:キャッシュレスでの決済比率

日本クレジットカード業界がカード決済に関する統計データを出していたので参考までに紹介します。
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日本のキャッシュレス(カード決済)比率:19.8%(※2016年)
 - クレジットカード:18.0%
 - デビットカード0.1%
 - 電子マネー1.7%
 

本日は以上です。

2019/1/27(日) 総アクセス数:8786

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