炎上プロジェクトにおける部下との協働~3つの思考改革~(下)
3行まとめ
- 炎上プロジェクトにおいて、部下に成長の機会を与えつつ、生産性を最大化するにはどうすればよいか。
- ポイントは以下の3つだと思っている。
1.チームのキャパ(工数)の考え方を改める
2.やることではなく、やらないことを決める
3.「プロジェクトの成功」以外のこだわりは捨てる - 上記はプロジェクトマネージャとして当たり前の話。たとえ炎上中のプロジェクトであろうと、自身の役割を見失わずに「当たり前」を忘れないことが重要。
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部下との協働に必要な3つの思考改革
前回の記事では「炎上プロジェクトにおいて、部下に成長の機会を与えつつ、生産性を最大化するにはどうすればよいか」の悩みについて記載しました。
本日はその悩みに対する自分なりの考え/気付きを書いていきます。(どれも当たり前の話ですが、私が出来ていなかったことです。)
<前回の記事はこちら>
1.チームのキャパ(工数)の考え方を改める。
部下がいる以上、作業量は私個人ではなく、部下含めたチームで見積もります。
それは当然なのですが、問題はその見積もり方法です。
これまでは自分の作業量に、部下の作業量を足し込むことでチームの作業量を見積もっていました。
例えば「私:100+部下:70=チーム合計:170」という考え方です。
本来であれば、私の工数の一部は部下レビュー等があるため、上記は適切ではないのですが、今まで時間を気にせず働くことが多かったため、結果として「部下レビューの時間は自身の作業量にカウントしない」習慣が付いていました。
そのため、無意識に「自分の工数にレビュー時間は含まない」といった考え方になっていました。
しかし、上記考え方だと、炎上プロジェクトなど時間に余裕がなくなると、無意識にレビュー時間確保の優先度が下がってしまい、部下に仕事を任せづらくなってしまいます。
そのため、考え方を「部下:70+私(レビュー):30+私(その他):70=チーム合計:170」に改めました。
結局は「チーム合計:170」で変わらないのかもしれません。
ただ、主戦力の認識が大きく変わっており、「私:100」から「部下:70+私(レビュー):30」になっています。結果、部下レビューの優先度が上がり、私の動き方も部下に求める成果も大きく変わってきます。
正直、改めて書くような話ではなく、マネジメントとして当然の話です。
今まで長時間労働で何とかしてきたツケが出てしまったなと反省しています。
2.やることではなく、やらないことを決める。
これも1と同様、これまでの働き方に起因する反省点です。
これまでは長時間労働で大体のことをカバー出来てきたため、「何をすれば目的を達成できるか」という正攻法の積上げでタスクを考えていました。
まぁ、余裕があるときはそれでも問題ないのかもしれません。
しかし、炎上プロジェクトで同じ考え方を貫くと、1つ1つのタスクにかける時間が短くなり、結果として「部下に任せづらくなる」「部下にゆっくり考える時間を与えられなくなる」という事態に陥ります。
そのため、炎上プロジェクトのときこそ、「何が必要か」ではなく、「残り時間を考慮し、何をやらないか」を考える必要があるのです。
3.「プロジェクトの成功」以外のこだわりは捨てる。
ある程度、コンサルタントをやっていると自分なりの仕事の方法が確立されますし、ある種の「美学」のようなものも出てきます。
私もついつい「コンサルタントとして」や「マネージャとして」という思いに縛られてしまっていたように思います。
もちろん、通常時はそういった誇りやあるべき姿を追求することは重要です。
しかし、炎上プロジェクトにおいては「こだわりはプロジェクトが成功することのみ」くらいに割り切ることが重要になんだと思います。
そう考えるだけで、求める品質やレビューにかかる時間が大きく変わってくるため、部下に任せられる仕事が大きく広がっていきます。
まとめ
上記3つの内容は、実は根っこの部分は同じであり「マネージャの役割は何か?」なんだと思っています。
マネージャの役割は「チームが機能するために環境を整えること」と、頭では分かっているのですが、部下が少なかったり、プロジェクトが炎上中だったりすると、その大原則を忘れて、ついつい「自分で何とかする」のモードになってしまいます。
でも本当に大切なことは、炎上プロジェクトであっても基本を忘れず、「勇気を持って自分の役割に徹する」ことなんだと思います。
どの内容もプロジェクトマネージャとして当たり前ですが、多忙・プレッシャーという状況やこれまでの働き方に足元をすくわれてしまい、その当たり前さえも守れなかった自分に対する戒めのため、記載しました。
2018/09/05(水) 総アクセス数:698