たった1つの「正しい情報」

100の「曖昧な情報」よりも、たった1つの「正しい情報」を目指します。

こうして皆、不幸になる

「担当領域が落ち着きそうなので、しばらく稼働を落としたいです。」

 

これはある日、部下から言われた言葉です。

 

私はコンサルタントをやっていて、
クライアント(お客様)の職場に常駐しています。
コンサルタントを呼ぶプロジェクトとなると、
多くの場合、重大なプロジェクトか、既に燃えているプロジェクトかで
いずれにしてもプロジェクトの間は「忙しい」ものです。

 

そんな大変なプロジェクトに長く関わってくれた部下ですし、
ピークを越えたときにゆっくりするくらい、当然の権利なのですが、
最初に思ったことは

「ん?何を言っているんだ?」

でした。

 

次の瞬間に思ったことは

「他領域はまだまだ大変で、お客様の手も足りていないのになぁ。」

でした。

 

自分の中の黒い感情:2つの嫉妬

でも、その呆れに近い感情を抱いたとき、
同時にモヤッと、自分の中に黒い感情を感じました。

 

その感情が何なのか、本当に分からなかったのですが、
少なくとも「呆れ」とは別の何かの感情がありました。

 

嫌な予感がしたため、
部下に何か言葉を返す前に自分の感情と向き合う時間を設けました。
そうすると、すぐにその正体不明の感情の正体に気付けました。

 

それは、2つの嫉妬でした。

 

1つは、私だって休みたい!という嫉妬。

そしてもう1つは、自分が部下の時には、
上司にそんなことを言い出せなかった、という嫉妬でした。

そんな単純な感情を自分ではすぐに気付けなかったのです。

 

無意識のうちに負のスパイラルに落ちる恐怖

 

心理学者アドラーは、感情が先にあり理由は全て後付けと言っています。
その言葉を頭では理解していましたが、本当の意味を知りました。

 

何のことは無い、
自分も「嫉妬」という感情が先にあり、その感情を正当化するために
「他の人も忙しい」「お客様の立場に立てていない」といった理由を
付与していたのです。

 

それも無意識に。

 

今回はたまたま違和感を覚えたため、
自分の感情に気付くことが出来ました。
しかし、もし気付くのが遅れていたらどうなっていたでしょう?

今回の部下の申し出は、タイミングも内容も全く非のない対応でした。
しかし、もしかすると、それっぽい正論を片手に部下に間違った指摘を
していたかもしれません。そしてその間違った指摘は間違いなく、
部下を、そして長い目で見れば自分を不幸にする「種」になっていました。

 

 

・自分の感情だからといって完璧に把握しているわけではない。
 自分の感情に向き合う時間も必要ということ。

・時として、その無意識に抱いた感情が、
 自分と自分の身の回りを不幸にする「種」を生む可能性があること。

 

そんなことに気付いた日でした。

 

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